有給休暇とは?付与の仕組みと取得できる日数の基本

有給休暇(年次有給休暇)は、労働基準法第39条にもとづき、雇い入れの日から6か月間継続して勤務し、全所定労働日の8割以上…

2026.09.01 公開更新日:2026.08.31

有給休暇(年次有給休暇)は、労働基準法第39条にもとづき、雇い入れの日から6か月間継続して勤務し、全所定労働日の8割以上出勤した労働者に対して、最低10日与えられる休暇です。その後は勤続年数に応じて付与日数が増え、最大20日まで積み上がります。この記事では、厚生労働省の資料をもとに、有給休暇が付与される条件と日数の仕組みを基本から解説します。

有給休暇が付与される条件

「勤続年数ごとの付与日数」直後 / 図解型

年次有給休暇は、次の2つの条件をどちらも満たした労働者に付与されます。

  • 雇い入れの日から6か月間継続して勤務していること
  • その期間の全所定労働日の8割以上に出勤していること

この条件は、正社員だけでなくパートやアルバイトなど雇用形態を問わず適用されます。ただし、所定労働時間や所定労働日数が少ない短時間労働者には、勤務日数に応じて日数を割り振る「比例付与」という別の基準が用いられます。雇用形態そのものの違いについては、正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイトの違いをゼロから解説で整理しています。

勤続年数ごとの付与日数

記事下部CTA前 / バナー型

週の所定労働時間が30時間以上、かつ週の所定労働日数が5日以上の労働者(いわゆる正社員などフルタイム勤務者)の場合、継続勤務年数に応じた付与日数は次のとおりです。

継続勤務年数 付与日数
6か月 10日
1年6か月 11日
2年6か月 12日
3年6か月 14日
4年6か月 16日
5年6か月 18日
6年6か月以上 20日

付与日数は勤続年数とともに増えますが、1年間に付与される日数の上限は20日です。

なお、週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下(または年間の所定労働日数が216日以下)の労働者には、勤務日数に比例した日数が付与される「比例付与」の仕組みが用いられます。自分の勤務条件でどれだけ付与されるかは、就業規則や労働条件通知書、勤怠システムの案内などで確認するのが確実です。

比例付与: 短時間労働者の場合の日数

週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下(または年間の所定労働日数が216日以下)の場合、勤続年数と週所定労働日数に応じて付与日数を比例で算定する「比例付与」が適用されます。代表的な目安は次のとおりです。

週所定労働日数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
4日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

パート・アルバイトでも、週所定労働日数が少ないだけで有給休暇がなくなるわけではなく、上表のとおり日数が少なくなる形で権利自体は残ります。自分の所定労働日数が不明な場合は、雇用契約書や勤先の担当部署に確認するのが確実です。

退職時の有給休暇の取り扱い

退職が決まったとき、残っている有給休暇をどう扱うかは悩みやすい点です。会社には時季変更権(取得日を変更するよう求める権利)がありますが、退職日以降に変更する余地がないため、実際には退職日までの間に消化する形になるケースが多くなります。引き継ぎ業務との調整が必要な場合は、退職日を逆算して早めに上司や人事担当者と相談しておくと、有給消化と引き継ぎの両立がしやすくなります。企業側が有給の消化を一方的に拒否することは原則できません。

有給休暇はいつ使えなくなるのか(時効)

年次有給休暇の権利は、労働基準法第115条の規定により、付与された日から2年間で時効により消滅します。前年度に取得しきれなかった有給休暇は、翌年度に限って繰り越すことができますが、2年を超えて積み立てることはできません。退職時にまとめて消化しようとして日数が足りなくなるケースもあるため、日々のスケジュールのなかで計画的に取得しておくことが大切です。

有給休暇の実際の取得率(厚生労働省の調査データ)

厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」によると、令和5年の年次有給休暇は労働者1人平均で16.9日付与され、そのうち11.0日が取得されています。取得率は65.3%で、昭和59年に調査を開始して以来、過去最高の水準です。

企業規模別に見ると、取得率には次のような差があります。

企業規模 取得率
1,000人以上 67.0%
300〜999人 66.6%
100〜299人 62.8%
30〜99人 63.7%

大企業ほど取得率が高い傾向はあるものの、企業規模による差はそれほど大きくなく、どの規模の企業でも6割以上の労働者が有給休暇を取得している状況です。転職先を検討する際は、求人票や面接で有給休暇の取得実績を確認しておくと、入社後のイメージがつかみやすくなります。

業種別に見ると、取得率の差はさらに大きくなります。同じ調査では、鉱業・採石業・砂利採取業が71.5%と最も高く、宿泊業・飲食サービス業が51.0%と最も低くなっています。人手不足になりやすい業種や、シフト制で稼働が続く業種ほど取得率が低くなる傾向がうかがえます。志望する業種の一般的な傾向として、参考にしておくとよいでしょう。

年5日取得義務化とは(2019年の法改正)

2019年4月の労働基準法改正により、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対しては、企業が本人の希望を聴いたうえで取得時季を指定し、付与日から1年以内に少なくとも年5日を取得させることが義務づけられました。

この義務に違反し、対象労働者に年5日の有給休暇を取得させなかった企業には、労働者1人につき30万円以下の罰金が科される可能性があります。違反は対象労働者ごとに成立するため、対象者が複数いる場合はまとめて処分される可能性もあります。

この制度は、日本の有給休暇取得率の低さを改善し、労働者の心身のリフレッシュを図ることを目的として導入されました。会社から取得時季の指定がない場合でも、自分から申請して計画的に取得しておくことが大切です。

計画的付与制度(計画年休)とは

年次有給休暇のうち、労働者が自由に取得できる日として最低5日を除いた残りの日数については、労使協定を結ぶことで、企業があらかじめ取得日を計画的に割り振ることができます(労働基準法第39条第6項)。これを「計画的付与制度(計画年休)」と呼びます。

例えば、夏季休暇や年末年始の前後に有給休暇をあてて大型連休にしたり、部署ごとに交代で取得日を割り振ったりする運用がよく見られます。労使協定であらかじめ取得日が定められている場合、その日には原則として有給休暇を取得することになります。求人票や会社説明で「計画年休あり」と案内されている場合は、休暇の一部が会社側の都合で指定される仕組みだと理解しておくとよいでしょう。

時間単位で有給休暇を取得できる制度(時間単位年休)

有給休暇は本来1日単位で取得するものですが、労使協定を結んでいる企業では、年5日を上限に時間単位で有給休暇を取得できる「時間単位年休」の制度を導入できます。通院や子どもの送り迎えなど、1日休むほどではない用事のために短時間だけ休みたい場合に活用できる仕組みです。

時間単位年休は、あくまで労働者本人の請求にもとづいて取得するものであり、計画的付与の対象にはなりません。制度の有無や上限時間は企業ごとに異なるため、利用したい場合は就業規則や人事担当者に確認しておくと安心です。

有給休暇を取得した日の給与はどう計算されるか

有給休暇を取得した日の賃金は、労働基準法にもとづき、次の3つの方式のいずれかで計算されます。どの方式を採用するかは会社ごとに就業規則で定められており、あらかじめ明記しておくことが義務づけられています。

計算方式 内容
平均賃金 直近3か月間に支払われた賃金総額を、その期間の総日数(暦日数)で割った金額
通常の賃金 所定労働時間を働いた場合に支払われる、いつもどおりの賃金
標準報酬日額 健康保険の標準報酬月額を30で割った金額(導入には労使協定が必要)

多くの企業では「通常の賃金」方式が採用されており、有給休暇を取得しても、いつもどおり働いた場合と同じ給与が支払われるのが一般的です。自分の会社がどの方式を採用しているか気になる場合は、就業規則の該当箇所を確認しておくと安心です。

有給休暇を買い取ってもらうことはできるか

年次有給休暇は労働者の心身のリフレッシュを目的とした制度であるため、会社が有給休暇を買い取り、労働者に取得させない扱いは労働基準法上、原則として認められていません。

ただし、例外的に買取りが認められるケースが3つあります。法律で定められた日数を上回る部分の有給休暇、退職時に消化しきれず残っている有給休暇、そして時効(2年)によって消滅する予定だった有給休暇です。なかでも退職時の買取りは比較的知られていますが、これはあくまで会社の任意対応であり、買取りを義務づける法律はありません。退職前にできるだけ消化しておきたい場合は、早めに上司や人事担当者へ相談しておくとよいでしょう。

有給休暇を取得させてもらえない場合の相談先

就業規則で有給休暇の制度自体はあるはずなのに、実際には取得を渋られる、申請しても理由を聞かれて断られるといった状況に悩む方もいます。前述のとおり、事業の正常な運営に支障が出る場合の「時季変更権」は認められていますが、取得そのものを拒否することは労働基準法違反にあたります。

社内で相談しても解決しない場合は、会社の所在地を管轄する労働基準監督署に相談する方法があります。労働基準監督署は、労働基準法違反の疑いがある事案について、事業者への指導や是正勧告を行う公的機関です。相談は匿名でも受け付けてもらえる場合が多く、まずは電話や窓口で状況を伝えてみるとよいでしょう。転職を検討している場合は、有給休暇の取得しやすさも含めて職場環境を見極めることが、次の職場選びの参考になります。

有給休暇を取得するときの基本的な流れ

有給休暇は、労働者が取得したい日を指定して会社に請求することで取得します。会社側には、事業の正常な運営に支障が出る場合に限り、取得日を変更するよう求める「時季変更権」が認められていますが、有給休暇の取得そのものを拒否することは原則としてできません。

また、有給休暇の取得日数が年10日以上の労働者については、会社が本人の希望を聴いたうえで、年5日は取得させることが義務づけられています。

転職すると有給休暇はどうなるか

現在の会社で勤続年数に応じて積み上がった有給休暇は、退職とともに消滅し、次の会社へ引き継ぐことはできません。転職先では、原則として入社日から新たに6か月間継続勤務し、その間の全所定労働日の8割以上に出勤した時点で、新たに10日の有給休暇が付与されます。前職での勤続年数は通算されないため、転職直後の半年間は有給休暇なしで働くことになる点は理解しておく必要があります。ただし、企業によっては独自の制度として、入社初日から一定日数の有給休暇を付与したり、試用期間中でも取得を認めたりする場合があります。求人票や入社時の説明で、有給休暇がいつから付与されるかを確認しておくと、転職後の働き方をイメージしやすくなります。

半日単位で取得できる有給休暇(半休)

有給休暇には、1日単位の取得のほかに、就業規則で定めることで「半日単位年休」を導入している企業もあります。半日単位年休は法律上の明確な規定こそありませんが、厚生労働省の通達で認められている運用であり、多くの企業が独自に採用しています。前述の時間単位年休(年5日が上限)とは異なり、半日単位年休には日数の上限が法律で定められていないため、運用方法は企業の就業規則によって異なります。通院や役所での手続きなど、半日だけ休みたい場面で活用しやすい制度です。自分の勤務先にこの制度があるかどうかは、就業規則の確認や人事担当者への問い合わせで把握しておくとよいでしょう。

有給休暇の申請はいつまでに行うべきか

有給休暇の申請時期について、法律上の明確な期限は定められておらず、各企業が就業規則で独自にルールを設けています。「取得希望日の3営業日前まで」「1週間前まで」といった基準を設けている企業が多く見られますが、体調不良など急な事情による当日申請も、多くの職場で柔軟に受け付けられています。繁忙期を避けて早めに相談する、引き継ぎが必要な業務は事前に共有しておくなど、周囲との調整を意識すると円滑に取得しやすくなります。転職活動中の面接日程の調整や、退職前の有給消化スケジュールを組む場面でも、早めの申請と相談が基本になります。

よくある質問

入社してすぐでも有給休暇は使えますか

年次有給休暇が最初に付与されるのは、雇い入れの日から6か月間継続して勤務し、その間の全所定労働日の8割以上に出勤した時点です。

パートやアルバイトにも有給休暇はありますか

雇用形態にかかわらず、雇い入れの日から6か月間継続勤務し、全所定労働日の8割以上出勤していれば有給休暇の権利が発生します。

有給休暇を使う理由を会社に伝える必要はありますか

法律上、取得理由を会社に伝える義務はありません。

使いきれなかった有給休暇はどうなりますか

その年度に取得しきれなかった有給休暇は、翌年度に限り繰り越せます。

有給休暇は会社に買い取ってもらえますか

原則として買取りは認められていませんが、法定日数を超える部分や退職時に残っている日数などは例外的に買い取られる場合があります。

有給休暇を取得した日の給料はいつもと同じですか

多くの企業では「通常の賃金」方式が採用されており、通常どおり働いた場合と同じ給与が支払われます。就業規則で計算方式を確認しておくと安心です。



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この記事の執筆者

編集部 宏キャリアマイスター

過去10年間、人材業界でのビジネスに携わってきた経験をもとに、求職者の皆さまへわかりやすく情報をお届けしています。

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